CC by Mircea2011
すべての道はローマに通ず.
歴史が好きな人は数多くいます.
日本では幕末や戦国時代,日露戦争などを題材とした話は,やはり人気ですね.
10年くらい前でしょうか,
そんな日本で,古代ローマが人気になった時期がありました.
そのキッカケを作ったのが,歴史小説を数多く生み出している
塩野七生さんの「ローマ人の物語」シリーズです.
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この「小説」というところがポイントで,本書は歴史書ではなくて物語です.
ノンフィクションになるように努力はされつつも,
塩野さんという,ローマを愛する人のフィルターを通じた
ローマ世界の楽しみ方を紹介してくれる小説といえるでしょう.
塩野七生著「ローマ人の物語」シリーズ
ローマ人の物語は,ハードカバーで15巻,文庫版で43巻の長編シリーズ.
私は,文庫版が発売された2002年頃に文庫版を読み始め,
文庫版で15巻くらいまで行ったところで一度止まってしまって,
2年ほど前にまた1巻から読み始めて,現在31巻まで到達したところです.
簡単に人に勧められるボリュームではないのは確かで,
私自身まだ読了していない状態ですが,
歴史を好きになる入口としては,「ローマ」は最高の題材だと思いますね.
最近読み終わった文庫版29巻~31巻は,ハードカバー版の11巻に相当し,
サブタイトルは「終わりの始まり」.
で,さっそくブックレビューを書こうとしたんです.
でも,いきなり29巻~31巻の細かいレビュー書いてもアレですし,
だからといって1巻からずっとレビュー書くのも大変です.
だいたい私は歴史の専門家じゃなくて,タダの歴史ファンなので,
詳細なレビューなんておこがましくて書けません.
でも,面白い本なので多くの方に読んでいただきたい.
そこで今回は,私が歴史ファンになるキッカケになった
古代ローマ時代の歴史のあらすじと,
古代ローマ・ファンになった私が,
読んで面白かったローマに関連した本をご紹介したいと思います.
(注)私は歴史の専門家ではなくて道楽で歴史を楽しんでいる一個人に過ぎません.
それを考慮の上,お読み進めください.間違いがあれば,ご指摘ください.
古代ローマの歴史のあらすじ
紀元前753年,都市国家として建国されたローマ.
最初は王政だったんですね.
それが,ローマ共和国となり,イタリア半島を統一.
強力な通商国家カルタゴの名将ハンニバルとの激戦を経て,地中海世界を制覇する.
広大な領土を持つに至ったローマは,
英雄ユリウス・カエサルと,その後継者アウグストゥスにより帝政へと移行.
# ちなみに,ユリウス・カエサルは "July"(7月)の,
アウグストゥスは,"August"(8月)の語源だったりします.
ユリウス・カエサル
CC by felixtriller.
#塩野さんはカエサルが好きなんだなぁ,と読んでて思います.
ハードカバー1巻で500年を描いたのに対して,
カエサルの人生を描くためにはハードカバー2巻を割いているのがその証拠ですね.
ローマ帝国は,地中海世界にローマによる平和
「パクス・ロマーナ」をもたらして最盛期を迎えます.
その最盛期を築いた5人の皇帝たちは,五賢帝と呼ばれました.
しかし,やがてローマ帝国も国力が衰えはじめ,異民族の侵入が増加.
それでもなんとかしようという努力の果てに,
ついに395年,ローマ帝国は,東西に分割されることになります.
分割された西側は,西ローマ帝国に継承されるも,
ゲルマン人の侵入によって476年に滅亡.
その領土を引き継いだフランク王国,神聖ローマ帝国,
オーストリア・ハプスブルク帝国等を経て,現在の西欧諸国へと繋がっていきます.
▼神聖ローマ帝国の俯瞰にはこちらの書籍がおすすめ.
著者の語り口が面白く,肩の力を抜いて読めます.古代から近代まで幅広くカバー.
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さて,分割された東側は,東ローマ帝国(別名,ビザンティン帝国)に継承され,
驚くべきことに,さらに一千年以上続きます.
その首都は,コンスタンティノープル,現在のトルコのイスタンブール.
ビザンティン帝国は宗教国家となり,独自の文化を開花させて繁栄するも,
やがて,国は衰退し,帝国の領土は失われていき,
歴史に名高い帝都コンスタンティノープルでの戦いをもって,
1453年,オスマン帝国に滅ぼされます.
ビザンティン帝国最後の皇帝,コンスタンティノス11世
なお,コンスタンティノープルでの戦いを描いた塩野さんの有名な小説がこちら.
数ある塩野さんの著作の中で,私が最初に読んだのはこの本だったと思います.
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そんなビザンティン帝国ですが,実際どんな国家だったのか.
どんな皇帝たちがいたのか.
そういったビザンティン帝国全体に親しむ一冊としては,こちらがおすすめです.
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なお,興味深いことに,ビザンティン帝国最後の皇帝コンスタンティノス11世の姪は,
モスクワ大公イヴァン三世の2番目の妃となり,
それをもってモスクワ大公国の指導者は,第三のローマを主張したそうですね.
モスクワ大公国以後のロシアの帝国の指導者は,皇帝・ツァーリを名乗ります.
ツァーリは,
ラテン語では「カエサル」, 英語では「シーザー」,ドイツ語では「カイザー」 .
カエサルとは,ローマ帝国のグランドデザインを描いた前述のカエサルのことですね.
これらの歴史を辿るだけでも,
ヨーロッパを語るにはローマが欠かせないことが分かります.
ローマ世界.面白い.古代ローマに興味出てきた!
そんな方でも大丈夫です.
ローマ人の物語は,それぞれの巻で比較的まとまりがあるので,
途中まででも十分に楽しめるようになっています.
興味を持った方は,まず,ローマ誕生からの500年を駆け抜ける
第1巻「ローマは一日にしてならず」(文庫版1~2巻)と,
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ローマ共和国と,カルタゴの名将ハンニバルとの地中海の覇権を賭けた戦いを描く
第2巻「ハンニバル戦記」(文庫版3~5巻),
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これらを読んでみてください.
これを楽しめた方は,少なくとも文庫版31巻までは楽しめると思いますよ.
文庫版のほうが安いし,軽くて持ち運びしやすくてお勧めですが,
上質な紙と立派な装丁を味わいたい方は,ハードカバー版をどうぞ.
#私も本当はハードカバー版を買って本棚に並べたいのですが,
本棚の容量がピンチなのでハードカバー版は諦めております.
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・・・
なお,以上の記事については,こちらの書籍を参考にしました.
読んだことがある方も多いはずです.高校世界史の資料集です.
改めて読むと,かなり細かい情報まで記述されていて役に立ちます.
#表紙の写真がコンスタンティノープル(イスタンブール)なのも良いですね!
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